変わる日本の農業 ~付加価値増の農業経営とは~

基調講演

「なぜ今農政改革か」

自民党 農林部会長

小泉 進次郎 氏

◇持続可能性取り戻せ

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 「なぜ今農政改革か」と題して基調講演した小泉氏は「一言で言えば、持続可能性を失った農業に持続可能性を取り戻さなければいけないからだ。魅力がある日本の多様な農業、高品質の作物を生み出す日本の農業を次世代につないでいくためにやらねばならないことはたくさんある」と訴えた。

 小泉氏は「最大の課題はTPPを乗り越えるでのはない」と強調した。1996年からの20年間で農業総産出額は11兆円台から8兆円台に、農家の総所得は5兆円台から2兆円台に減少、50万ヘクタールの耕地面積が失われた。コメ生産農家の平均年齢は70歳、農業従事者の平均年齢は67歳になった。小泉氏はこれらの数字を挙げ「20年間ずっと右肩下がりなのが日本の農業だ。それでもTPPが最大課題と思う人はいないだろう」と、農政改革への理解を求めた。

 日本の主食はコメだが、パンの消費量の方が上回る。小泉氏は高品質のコメを生み出す技術の研究開発と産地育成が重要だとし、「北海道のコメでは『ゆめぴりか』が有名だ。以前はネコまたぎ(ネコも食べない)と言われた北海道のコメを消費者が食べたいと言うコメにした」と述べた。

 ほとんどをフィリピンやエクアドルなど海外からの輸入に依存しているバナナについても「海外のバナナは農薬をかけ、青い状態で取る。農薬をかけず、完熟で取れる国産のバナナができれば、新たな付加価値が生まれ、国内の市場を国内の産地が奪還できる」と力を込めた。

 農業が抱える大きな構造的課題として、若い人たちが農業に就かないことがある。小泉氏は「若い人が入らない日本の農業を変えるためには、一つの大きな可能性として法人経営がある。それが必要なのは就職活動の一環で農業に就職できる環境をつくるからだ。今、農業をやりたい人はたくさんいるが、受け皿がない」と強調し、農業法人のイオンアグリ創造やセブンファーム、ローソンファームなど流通大手が農業分野に参入したケースを紹介した。

 小泉氏によれば、イオンアグリ創造には1万人の新卒者が募集し、40人を採用した。その40人の定着率は100%だという。

講演プログラム