iJAMP自治体実務セミナー

第2部 講演

「農協改革は地域主体で 〜キーワードは「協働」〜」

JAみどりの代表理事専務阿部 雅良氏

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 農協のあり方を変えるには、自己改革、意識改革をしながら行動していくしかない。全国農業協同組合中央会(JA全中)から単位農協への押し付けはない。全中の監査というものは基本的には改善だ。悪いところをつかみ、直していく。全中は単協にいろいろな情報を提供している。「こうしましょう」という良い情報、「悪いところを直しましょう」という情報を流す。

 一般企業は赤字であればその地域から撤退できるが、農地は移動できない。地域には地縁、血縁、連続性があり、農協はその地域と共にやっていく組織だ。JAみどりのにもTAC(農業コーディネーター)が3人いて、集落営農をどうしたら法人化できるか、組合員と膝を交えて議論している。担い手が年を取ると、一抜け、二抜け、三抜けになり、やがて集落営農は消滅する。法人化して新しい人を入れる。東京から人が来てもよい。組織は維持され、農地は守られる。

 最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き残るのでもない。唯一生き残るのは、変化できる者だ。ガラパゴス諸島の動物は生き残った。変化に対応したからだ。行政も農協も地域住民も(現状で)何とかなると思ってきた。国のせいにするのではなく、地域の皆さんが出し合ってやっていく時代に入った。

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 農協改革の方向性は地域住民が主体だ。かつて農協の再生に尽力した一楽照雄氏はこう言った。「単協は本店、県連は支店、全国連はせいぜい出張所にすぎない」。地域の人々と話し合い、行政と一緒にプラットホームをつくることが地方創生につながる。点が集まり、大きな協働が見えてくる。元気な集落には必ず熱いリーダーがいる。行政も農協もそういうリーダーを発掘していくことが大事だ。

阿部 雅良(あべ まさよし)氏

1955年8月生まれ、東北大学卒業。88年4月農業生産法人(有)ダイアファームを設立し代表取締役に就任、88年8月鹿島台農業協同組合理事、96年みどりの農業協同組合理事を経て、2014年6月より現職。

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