iJAMP自治体実務セミナー

第2部 講演

「農協改革は地域主体で 〜キーワードは「協働」〜」

JAみどりの代表理事専務阿部 雅良氏

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 農協というのは60年の歴史がある地域の維持システムだ。ガソリンスタンドや金融、介護事業など地域に根差している。地域は複合的であり、集合体としてやっている。農協はその地域を維持し、発展させるエンジンだ。

 白熱電球を発明したのはトーマス・エジソンではなく、ジョゼフ・スワンだ。しかし、電球がすぐ切れてしまう。エジソンはいろいろな合金で500回以上も試し、「つかないことが分かった」と言う。失敗とは言わず、成功体験として捉えてデータを積み上げた。そして、発電所や送電線、変圧器など発電システムをつくり上げた。夜、子どもが本を読んで笑顔になる。その笑顔を見るために一生懸命やった。地域が笑顔でいられるようなシステムをつくり上げていく。成功の反対は失敗ではなく、何もしないことだ。

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デリシャストマトを使った発泡酒(株式会社オニコウベ提供)

 大崎市で地域振興条例を作ろうと、行政と市民が対等の立場で話し合う「パートナーシップ会議」ができた。どういうふうにすれば地域が元気になるか、徹底的に話し合った。これに関わり、「協働」することの大切さを学んだ。同市鹿島台の自治組織が、特産品のデリシャストマトの付加価値を何とか高めたいとワイナリーと連携し、発泡酒を造った。地域で起業する際に、農商工の連携とか産官学の連携とかいわれるが、中身、本質は「ヒト」だ。

 農業のスタイルも変わってきている。行政、農協、市民が役割、仕事を見直して新しいものを発見していく。楽をして出たものはすぐにつぶれる。苦しみはあるが、やり続けてつかむことが協働だ。ワークショップなどで地域住民の意見にすぐに反対すると、次から発言しなくなる。地域を良くしたいという人々が役割、仕事を持ちながら新しい地域システムをつくっていくことが大事だ。次ページに続く ≫

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