◇労働力支援への取り組み
急に移住者や新規就農者が増えるわけではない。JA全農おおいたは「労働力支援」という独創的な取り組みを続けている。園芸部直販課長の花木正夫氏は「問題は農業の人手不足ではなく、日本の人口減少だ。地方の人口減少のスピードを緩やかにする」と目標を掲げるとともに、「就農希望者を広くリクルートすること。体験型、訓練型の就農だ」
特徴は「ハードルを下げることにある。そのために労働力支援が必要だ」と花木氏は言う。ポイントは、農繁期に必要なだけの労働力を農家に提供することだ。アルバイトでもフルタイムでも、次の就職へのつなぎでもよい。学生でも主婦でも、一般企業に勤める人でもよい。1日だけ農業体験をしたい人でもよい。もちろん将来、農家を目指そうとする人は歓迎だ。
仕組みは、パートナー企業である「菜果野アグリ」が約200人の支援者を登録。JAの組織を通じて農家から要請があった労働力を提供する。日々の支援人数は60~80人に上るという。給与は現金当日払い。勤務日数や勤務時間は柔軟に対応する。土曜、日曜だけ農作業をしたいというサラリーマンも戦力になる。
JA全農おおいたが農家の収入を増やすために取り組んだキャベツ栽培では、支援人数が年々増加するのに伴い、収穫販売面積も増えた。花木氏は「このやり方が農業振興の新たな一手になると期待している」と力を込めた。