航空需要動向だが、1995年には7千万人強のお客さんが国内線を利用していた。2000年の航空法改正で事業や運賃、路線などの大幅な規制緩和が行われ、06年は約9700万人に達した。これが一つのピークで、そこから利用者数は減っていき、東日本大震災があった11年には7900万人となり、5年間で需要が2割減った。その後は、国内LCCの登場などにより17年度に初めて国内市場で1億人を突破した。
国際についてだが、07年の総数は850万人で、12年もほぼ横ばい。それが17年では2700万人と非常に伸びた。空港別では、成田が07年52%で、17年は29%。羽田は14%。関空は19%が27%に増えている。福岡は5%が8%。新千歳は1%から6%。那覇も4%が6%へと、エリアの拠点空港が非常に伸びてきている。
それ以外の地方空港は7%から5%と伸び率は低下しているが、実数でみると12年の約46万人が17年には145万人と3倍強の伸びになった。外国人の入国者数が10万人以上の空港は北九州、鹿児島、高松、静岡、函館といったところが挙げられる。
LCCについての明確な定義はないが、共通して言えるような事業特性の一つは短距離かつ直行便主体。二つ目は主要空港の周辺空港を利用。三つ目が空港における入れ替え・交代時間を短くして、一機をできるだけ多く使う。四つ目がネットの活用で間接費、販売コストを徹底的に削減。五つ目が主に同一の小型機材を使って整備コストどの整備費を削減していることがある。
これらによって削減したコストそのまま、運賃の削減に使って、潜在的な航空需要を顕在化させている。要するに運賃レベルの低減化で潜在需要が顕在化してきているということが考えられる。
このように国内、国際でLCCが伸びてきたことで、国内線では、約10%ぐらいのお客をLCCが運んでおり、国際線では、約2割をLCCが運んでいる。便数ベースでは、国際線が12年から18年で約6割増加したが、このうちフルサービスキャリアーの伸びは約2割で、LCCは10倍に増えた。ただ、LCCは比較的小型の機材なので、運ぶ人員以上に便数としては増えた格好になっている。われわれとしては、これからさらにLCCを振興していきたい。
空港の経営改革ということでコンセッションを進めている。これにより、空港経営の自由度を増幅し、LCCなどの誘致に有利な料金体系および施設整備をそれぞれの空港で図っていこうというわけだ。私どもは、北海道7空港のコンセッションの手続きをやっている。
飛行機が入ってくる際には、いろんな形のグラウンドハンドリングが必要になってくる。私どもでは、グラウンドハンドリングの規制緩和は行ってきたが、それだけでは今の人手不足には対応できないので、省力化とか自動化にも取り組んでいかなけれなならない。制限区域内のランプバスの自動走行の実証実験を行うなど、LCCの振興に結びつくような取り組みを行っていきたい。
第一部 【LCC次世代戦略プレゼンテーションⅠ】Peach Aviation 株式会社 執行役員事業戦略室長 轟木 一博 氏 >>