iJAMP 自治体観光セミナー2018 地方空港の活用とリージョナル航空の可能性を考える ~新たな観光ニーズを探りわが街に人を呼び込め!~

特別講演(3)

地域間交流で地方を発展させる

フジドリームエアラインズ会長 鈴木 与平 氏

 政府が進めている地方創生で一番の課題になっているのが、定住人口の減少をどう食い止めていくかということかと思う。その中で、われわれリージョナル航空や地方の空港の果たす役割が、どこにあるのかを考えてみたい。

 私は、定住人口をどう増やすか、交流人口をどう増やすか、という二つの課題があると思う。ここでは交流人口の増加のために、どうしたらよいのかを考えてみたい。

 交流人口は二つに分けられる。一つはインバウンドで、訪日外国人の誘客とその活用。二つ目は国内の交流の活性化。インバウンドには一定の効果がある。ただ、気をつけなければいけないのは、一歩間違えると、外国人の方が増えて、外国の資本で外国のまちづくりが行われ、いつの間にか地元と完全にかい離した植民地のような観光地ができてしまうことだ。

 先日、静岡の清水港に10万トンの客船が来るので歓迎式典までやった。だが、外国の船会社の手配するバスが数十台も来て、みなさん、それに乗って遠方のアウトレットモールへ出かけていき、1日帰って来ない。大きな買い物バッグを抱えて船まで戻ってきて、そのまま船は出て行ってしまった。

 地元には一銭も落ちないし、地元との交流もなかった。外国のお客さまをどういう形で呼ぶかは、大事なファクターではあるが、気をつけなくてはならない部分もあるのではないか。

◇交通利便は公平に享受すべき権利

 私たちの地域では、何か一つでもいいから、東京に負けないような文化、あるいはナンバーワンをつくることが、すごく大事ではないか。地方空港を利用した国内の地域同士の交流の拡大と、交流の進化により、それぞれが持っている大切な経済、文化が刺激を受けて影響し合い、新しいエネルギーをつくっていくのではないか。また、つくっていってもらいたいと思っている。

 そこにこそ、地方空港とリージョナル航空の存在意義がある。東京を中心にしたネットワークを補完しながら、地方都市と地方都市を結んでいくネットワークをつくっていきたい。私は交通の利便性の向上は、日本国民全員が公平に享受すべき大切な権利ではないかと思う。不平等な交通の空白地帯を少なくするように努力をしていかなくてはいけない。

 フジドリームエアラインズ(FDA)の企業理念と言うか、われわれ社員一同が目標にしているのは、この地産地消ということで、地方と地方を結ぶ交流の懸け橋となり、それぞれの文化や経済の発展に貢献することで地域社会に信頼され、その成功を地域の人々と分かち合うような会社になりたい。

 よくLCC(格安航空会社)の話が出るが、LCCというのは、どちらかというと、路線はできるだけ少なくて、頻度が多いのがいい。それでコストダウンをしてやっていく。これがエアラインの基本原則だ。われわれは、それとあべこべのやり方で、路線は多く、回数が少ないということで、いろんなところを飛んでいる。

 安全には最初から、ものすごく力を入れている。フライトシミュレーターはわれわれが事業をスタートしたばかりの時に導入を決めた。初期段階で持つのはコストもかかるし、大変だというのは後で分かった。

 でも、そのくらいフライトシミュレーターは、航空事業をやっていく上では大事なファクターで、安全運航とパイロットの養成には欠くことのできないものということ。われわれの判断は間違っていなかったと思っている。

 われわれが使っている飛行機はブラジルのもの。エアバスとか、ボーイングの飛行機とほとんど変わらない感じで空の旅を楽しんでいただけると思うので、大手と変わらないようなサービスを心掛けている。

  • 1
  • 2
画像

地方同士が直接交流

静岡県副知事 難波 喬司 氏

画像

観光立国に地方空港の役割大

国土交通大臣 石井 啓一 氏

画像

国内航空客が1億人突破

国土交通省 航空局 航空ネットワーク部長 久保田 雅晴 氏

画像

「お客さま満足度日本一」を

富士山静岡空港 社長 出野 勉 氏

画像

FDAチャーターが回復支える

北海道稚内市長 工藤 廣 氏

画像

地域間交流で地方を発展させる

フジドリームエアラインズ 会長 鈴木 与平 氏

画像

【パネルディスカッション】
リージョナル航空で地域を活性化させる

北海道大学 公共政策大学院 特任教授 石井 吉春 氏など