稚内は、日本のてっぺんで、43キロ北にはロシアがある。基幹産業はかつての北洋漁業から、今は沿岸漁業に代表される漁業。内陸部では生乳生産の酪農に最も力を入れている。これらに観光を加えた三つが柱となって発展してきた。1949年に市制を施行、今年70年を迎える。
交通環境は、新千歳空港からプロペラ機で55分。羽田空港とはジェット機で1時間55分の時間距離だが、札幌とは315キロ、旭川とでも250キロ離れているということで、物理的な距離感は大変大きい。一方、利尻、礼文、サハリンの各島と船で結ばれている。サハリンとは経度が同じなのだが、時差が2時間ある。
稚内空港の乗客数は1999年が33万人弱で最も多かった。その後は漸減、リーマンショック後の2010年には17万人弱にまで減った。その後、離島便が廃止されるなど、厳しい状況が続いていたが、13年から始まった夏場のフジドリームエアラインズ(FDA)のチャーター便が回復傾向を支えてきた。
9月6日に北海道胆振東部で大地震が発生した。稚内は震源地から約400キロ離れていて、市民は地震のことは知らなかった。しかし、電気がつかなかったということもあって、風評被害等々の影響があり、観光には今も大きな影響が出ている。
FDAチャーター便の稚内空港就航だが、初年度は小牧空港(愛知県)からのみで、その時は35 便だった。それが開始以来4年で便数は一気に10倍、乗客数は17倍強と急増して6年目を終え、その傾向が続いている。運航期間も、最初は夏の最盛期のみだったが、現在は5月末から9月上旬までの3カ月間強に延びており、最終的には定期に結び付けたい。
◇地域の魅力、どうアップする
今回のFDAチャーター便は、アクティブシニアの旅行を考えると、稚内のような遠隔地の空港であればあるほど、直接目的地に移動できるメリットは大きく、最適な旅行モデルだと思っている。今後さらに全国各地の方々がFDAを使ってわが町に来ていただけるよう、地域一体となって頑張っていきたい。
ここ数年、東南アジアからはもとより、欧米からの観光客も目立つようになってきた。この傾向をさらに強めるための努力はもちろん、遠くの地からわざわざ来てくださるみなさんを快く迎える感謝の気持ちをお伝えするため、どんな魅力を磨くことがいいのか、課題として取り組んでいく。
最近の地元の話題の一つは、定期便である全日空機と、夏場は多い日で1日3便飛んでくるFDAの小型ジェットチャーター機が駐機している姿を見かけることで、子どもたちを中心に歓声が上がっている。子どもたちの夢を育むためにも、さらなる空港利用の多様化や地域の魅力アップに努めていきたい。