東日本大震災を受けた震災特例でいろんなことを認めてもらえると思い、チャレンジした。その中の一つに仙台空港の民営化があり、政府に働き掛けて実現した。仙台空港からは、国内線が11路線で1日55往復、海外は3路線で19往復飛んでいる。
特徴の一つは羽田線がないことだ。仙台空港は、東日本大震災で大変な被害を受けた。この時には、新幹線がしばらく使えなかったので、臨時に仙台―羽田線を一時的に復活した。
私は、海外の事例などを見て、空港は民営化すべきだと前々から考えていた。民営化して、滑走路等や空港ビルの運営主体を一つにすることで、空港ビルや駐車場の利益分を着陸料の減免等に充てて、航空会社と直接交渉ができるようになった。
英国のルートン空港は、ロンドンから50キロ以上離れた場所にあり、滑走路も2000メートルくらいしかない。これを24時間運用にして、仙台空港と同じようにコンセッション方式にしてLCC(格安航空会社)の誘致努力をした結果、15年間で旅客数が3倍になった。オーストラリアのゴールドコースト空港も同じようにして、15年間でこちらも旅客数が3倍に伸びた。
仙台空港ではトイレをきれいにしたし、ムスリムの方々のために礼拝室を新設。役所がやると、宗教のためにというのはなかなか難しいが、民間だとこういったことも許される。仙台空港は県民の方から「本当に変わりましたね」「民営化とはこういうことなのですね」と評価していただけるような空港に、たった2年で生まれ変わった。
◇運用時間延長で路線・便数増を目指す
民営化後の空港を生かした観光戦略だが、海外へのプロモーションはオール東北でやろうと言った。若者が利用しやすい空港にしようということと、新規路線の開拓をやろうと取り組んでいる。仙台空港はお客さんが伸びているが、これは間違いなくLCCの就航がお客さんを引っ張っていっている。
LCCを伸ばすことで、英国やオーストラリアの空港のような効果を導き出せると信じている。LCC関係者からは、運用時間を延長してもらえれば、就航路線や便数を増やせると言われた。そこで、県が前面に出て運用時間の延長について住民との話し合いを始めた。
仙台空港を民営化して2年だが、国際線は1日10往復だったものが22往復になった。国内線もフジドリームエアラインズが仙台―出雲線を1日1往復飛ばしてくれることになった。東日本大震災からの復興を考えると、お客さまに来てもらい、泊まっていただいて経済を活性化するのが何よりも重要だと思っている。