富士山静岡空港は開港からちょうど10年目に入った。近年、中国便が急増し、一時期は中国便だけで15路線にもなった。羽田に入りづらいエアラインが入ってきたほか、東京と大阪の間にある利点もあったかと思う。
ゴールデンルートということで、東京・大阪間を走り、観光をして帰る中国のお客さんが多く、静岡県は降りるか、乗って帰るだけというようなこともあった。このため、静岡や中部地域を目的地にしてもらわないといけないと考えるようになった。
もう一つはリピーターの確保。利用客の利便性を高めることで、旅行・宿泊業だけでなく、結果的に地域の活性化につながっていく。観光は非常に裾野の広い産業なので、インバウンドのお客さんをいかに増やしていくかが重要と考えている。
では、地方空港はインバウンドをどうやって増やしていくかということで、当空港は「お客さま満足度日本一」を掲げた。大規模空港ではできない地方空港のサービスとは、フェーストゥフェースのサービス。お客さまに気持ちよく観光地やビジネスに行っていただき、帰りも気持ちよく帰っていただく。
そして、次も当空港を使ってもらおうということで、空港で働く全員が、とにかくお客さまに対して親切に対応していく。3000万人超といわれる訪日外国人旅行客が来る中で、こうしたお客さんをいかに地方空港に取り込んでいくかということが重要だ。
◇開港後の経済効果は2000億円
離着陸時に富士山が見える唯一の空港というのも、当空港のキャッチコピーだし、茶畑の中に降りてくる空港というのもキャッチコピーの一つ。こうした中で、昨年7月に訪日誘客支援空港として、全ての支援策が受けられる空港と認定されたので、これを活用しながら今後も空港の賑わいづくりに励んでいきたい。
静岡空港にはレンタカー会社が4社入っていて賑わっているが、中国のお客さまは基本的には国際免許を持っていないので、レンタカーに乗れない。そんなお客さまのために公共交通アクセスをどう充実させるかも重要だ。
静岡というのは交通至便の地域と思われがちだが、実は山陰とか、東北、四国に行くのが盲点で、このへんをどうつなげていくかというのも、リージョナル航空の役割の一つと考えている。
開港以来、約2000億円の経済効果があった。年間370億~380億円の効果があるということで、雇用創出も開港以来、延べ1万4000人ぐらいの効果があった。地方空港の役割は非常に大きくなっていくので、地方空港間で交流することにより、ウインウインの関係になっていくと思っている。