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地域で取り組む脱炭素 ~事例紹介と支援策~
地域で取り組む脱炭素 ~事例紹介と支援策~ 地域で取り組む脱炭素 ~事例紹介と支援策~

脱炭素社会の実現を目指し、政府は2025年度までに脱炭素に向かう地域特性に応じた先行的な取り組みの道筋を付け、30年度までに実行する計画を立てている。また地方自治体も「ゼロカーボンシティ宣言」を続々と表明している。ライブ形式で開催された本セミナーは、環境省が地域脱炭素の実現に向けた支援策を示し、自治体や金融機関が地域で取り組む先行事例を紹介するなど、脱炭素の実現に向けて共に考える機会となった。

【開会挨拶】中川康洋 氏/環境省大臣政務官(ビデオメッセージ)

 開会に先立ちひと言ごあいさつさせていただきます。先日、イギリス・グラスゴーにて開催された国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)では世界のリーダーが一堂に集まり、パリ協定の目標達成に向けた野心的な取り組みを促すとともに市場メカニズムに関するパリ協定実施ルールに合意するなど、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて本格的に動き始める条件が整いました。
 わが国から岸田文雄総理がリーダーズサミットに出席し、30年までの期間を「勝負の10年」と位置付け、全ての国に野心的な気候変動対策を呼び掛けるなど、脱炭素化に向けたわが国の取り組みをアピールすることができました。さらに21年10月、わが国としての2050年カーボンニュートラルおよび30年のCO2を46%削減に向けた地球温暖化対策計画と長期戦略が閣議決定されております。
 人類にとってカーボンニュートラルは未知の世界への挑戦です。その実現のためには現在の社会・経済の仕組みを大きく変えていかなければなりません。環境省はカーボンニュートラル・脱炭素に向けた取り組みを通じて、地域に活力とより良い暮らしをもたらし、地域初・地方初の地方創生につなげていきたいと考えています。
 具体的には21年6月に策定をした脱炭素ロードマップに基づき、CO2実質ゼロの実現、脱炭素先行地域100カ所以上創設とともに全国で地域共生型の再エネや建物の省エネなどの重点的な対策を進めてまいります。さらに他省庁と連携し、自治体での予算活用を積極的に支援し、多くの地域で脱炭素と地域課題の同時解決に向けた取り組みが進むことを期待いたします。
 本日のシンポジウムの成功を心よりご祈念申し上げ、あいさつとさせていただきます。ありがとうございました。

【基調講演】「脱炭素の取組で進める地域の活性化」上田康治 氏/環境省官房地域脱炭素推進総括官

 本日は「脱炭素の取り組みで進める地域の活性化」をテーマにお話しさせていただきます。  2021年6月に地域の脱炭素とはどうあるべきかの戦略をまとめた報告書がまとまりました。国際的に温暖化・脱炭素対策が主流となっていますが、その背景には科学的な知見があります。国際的な科学者または研究機関の集まりである国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が発表する報告書が基本となり、今世紀末の気温上昇を1・5℃に抑えるためには、50年前後にCO2の排出量をゼロにしなければならない。これが今、世界の取り組みの基本となるスタートラインで、ここを目指して国際的な枠組みを作っているわけです。
 こうした枠組みの議論の基本となっているのが15年のパリ協定で、先月開催されたCOP26で最終的なルールの詳細まで決まり、これからスタートする段階です。
 政府は20年10月に「2050年カーボンニュートラル宣言」を発表しましたが、2050年ゼロというのは大きな挑戦であり、生半可なことでは達成できません。今CO2はどこから出ているのかといえば4割が発電です。限りなくカーボンニュートラルにしていくためには、それぞれの産業、運輸、家庭・業務部門でしっかりと省エネをしながら再エネを使っていかなければなりません。
 21年6月にまとめられたロードマップでは、今ある技術を使い、地域にあるさまざま資源を再エネという形で最大限に使い、加えて脱炭素が地域の人にとって良いものだと思えるような施策であることがキーコンセプトになっています。どんな形で実現するのかといえば、30年度までに少なくとも全国で100カ所の脱炭素先行地域を市・町・村・県の形で協力しながらつくっていく。それを見て「これいいね。できるね」と全国に広げていくことを基本コンセプトとしています。
 地域の資源を活用し、課題を解決することはSDGs(持続可能な開発目標)の発想にもつながります。例えば、地域に住んでいる方の住宅への太陽光や断熱の補助を手厚くすると、そこに住んでいる人の電気代が安くなります。さらにバイオマス発電の売電収入を子どもの医療費や保育の補助に、また若い人に帰ってきてほしい、都市から新しく若い人が来てほしいというメッセージの一つとして打ち出すこともできます。ぜひとも脱炭素と上手に地域の人が手を結んで課題を解決するアイデアを出してください。そのお手伝いをわれわれが一生懸命したいと思っています。そのためにも「これからやろう。そうか大切だ」と思った時に取り組んでいただける仕組みを二つほど用意しています。
 一つは市庁舎、町役場、村役場といった避難施設になりそうなところの屋根に太陽光や蓄電池を乗せませんか、というもので、これはかなり簡単な形でできます。もう一つは、そもそも脱炭素とは何をやったらいいのだろうか、と悩んでいるのであれば、そのためのソフト支援事業も用意しています。22年春から施行できるよう資料を準備していますので、ご活用していただければと思います。
 脱炭素先行地域、2050年ゼロに向けて、われわれも親身になって相談に乗っていきたいと思います。ご清聴ありがとうございました。