iJAMP自治体実務セミナー レポート

新たな物流が地域の課題を解決する〜物流の底力〜

【事例紹介②】「みちのりグループにおける生産性向上と公共交通活性化の取組み」

株式会社みちのりホールディングス代表取締役社長 松本 順 氏

◇生活路線で観光振興

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松本氏は「地方創生に資する公共交通の活性化と物流の連携」と題して講演。同氏率いるみちのりホールディングスは、企業再生を手掛ける経営共創基盤(東京)が全額出資する交通事業支援会社で、福島交通や茨城交通などを傘下に収め東北、関東で広域連携を進めている。しかし、運行地域には長期的な人口減少や高齢者の増加、通勤・通学需要の減少や平日昼間の低い乗車率など課題が山積する。

傘下企業では多くの対策を講じているが、松本氏は、宇都宮・大谷地区の観光振興と路線バスの利用促進で成果を出した事例について紹介。このサービスは大谷石地下採掘場近くを通る関東自動車の路線バスを活用。本来は生活路線だが、大谷資料館の入場料と大谷観音の拝観料が割安でセットになった一日乗車券を販売したところ、2年間で1万3000人が利用、収益増加につながったという。

「生活路線は人口減少に伴い、利用者減にもつながる。いずれ減便、廃止になり地域の交通弱者が困る。そこで観光客に乗ってもらって生活路線を維持する取り組みだった」と松本氏。同様の取り組みは茨城交通の高速バスでも展開した。

同社は2013年4月、東京・秋葉原と茨城・笠間を結ぶ都市間高速バスの路線を、栃木・益子まで延伸。陶芸産地の益子、笠間に行ける「関東やきものライナー」として観光客を呼び込んだ。笠間市、益子町も観光振興のための協議会を設置、行政側との連携も奏功した。「益子は東京から行くには非常に不便な場所。延伸により、多くの陶芸ファンを集め、増便もするようになった」と強調した。

◇貨客混載で路線維持

人口減少が続く地方で、路線バスの維持は非常に難しい時代になった。行政の支援があっても収益が上がらなければ、路線廃止につながる。そうした中、車内の一部スペースを使い宅配荷物を運ぶ貨客混載の試みが各地で実施されている。路線維持だけでなく、宅配会社側にもCO2削減、セールスドライバーの他業務への活用などのメリットがある。

岩手県北バスがヤマト運輸とともに、盛岡―宮古間の都市間急行バスで貨客混載を実施。座席の一部を取り払って車体横に観音開きの扉を取り付け、フォークリフトで荷物を差し入れられるよう改造した。また宮古―重茂間の一般路線バスは車体後部の座席を撤去して、貨物収納スペースに改造した。ヤマト運輸はターミナルから営業所までのベース輸送に利用するほか、重茂半島への宅配輸送などに使っているという。

バス業界の今後について、松本氏は「いずれにしても10年後、この国のさまざまな場所で自動走行のバスが走り、車体はIoTを満載して走っていると予測する。自動走行は究極の人手不足対策で、究極の安全対策でもある。そしてIoTはお客さんとバス会社を結ぶ重要なコミュニケーションの手段になる」としている。

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