14年に世界の72億人のうち、30億人がインターネットに接続し、20年には80億人のうち60億人がアクセスできるようになるといわれている。
特別講演したグーグル執行委員(公共政策・政府渉外担当)の杉原佳尭氏は「これまで図書館に行ったり、本を買ったりして調べていたことが、スマートフォン一つで今知りたいと思ったことを調べることができるようになった」と指摘した上で、「それぞれの人がいろいろなメディアにより外部と接している。こうしたライフスタイルの変化を地域活性化、地方創生の中でつかんでいかなければならない」と強調した。
インバウンドを呼び込むために有効な手段が、デジタルアーカイブを通じて情報を世界に発信することだ。「デジタルで見て『これは素晴らしい。ぜひ本物を見に行かなければ』と思うきっかけになる」。グーグルは「Made in Japan:日本の匠(たくみ)」で、日本の工芸品をオンライン展示している。杉原氏によれば、これを見た海外の人が岡山県瀬戸内市の「備前おさふね刀剣の里 備前長船刀博物館」に行き、刀を購入して帰ったという。
日本のブドウなどは海外でも人気がある。高付加価値の農産物を食べてもらったり、生産の現場を見てもらったりして、また来てもらう。それは製造業でも同じだった。オートバイのファンが日本のメーカーの工場を見学し、帰国してからその会社の製品を買う。次にまた工場を訪ね、部品を買う。杉原氏は「そういう海外の客を増やしていかなければならない」と述べた。
ただ、注意すべき点がある。一口に海外といっても北米、アジア、欧州では興味の対象は異なる。同じ欧州にしても、イタリア人に関心が高いのはファッションだが、デンマーク人にとっては日本食だ。杉原氏はこう指摘し、「データに基づき、こういう人にはこういうところがアピールする、と考えてやることが必要だ」とデータ分析の重要性に言及した。
最後に杉原氏は「ウェブに載らないと、世界の人々の視野には入らない。何が当たるかは分からないが、情報を発信しなければならない。動画も、写真も、地図もスマホ一つで何でもできる。まずはやってみてほしい」と呼び掛けた。