変わる日本の農業 ~付加価値増の農業経営とは~

パネルディスカッション

企業×行政×JA×専門家のパネルディスカッション

〔パネリスト〕

鳥取県 農林水産部次長安養寺 寿一 氏
株式会社NTTドコモ 第一法人営業部上原 宏 氏
全国農協青年組織協議会副会長埼玉県農協青年部協議会委員長飯野 芳彦 氏
全国農業協同組合中央会常務理事金井 健 氏
一般社団法人日本事業構想研究所代表理事東京農業大学教授木村 俊昭 氏

〔コーディネーター〕

時事通信社 デジタル農業誌Agrio編集長増田 篤

◇品質プラス情報を

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 現場を代表する形で発言したのは、全国農協青年組織協議会副会長の飯野芳彦氏だ。埼玉県川越市で都市近郊型農業を営む飯野氏は「農業従事者として経営を確立し、農業が産業として認識されるよう食育や講演活動に取り組んでいる」とあいさつした。

 飯野さんは3㌶の耕地で、トウモロコシやニンジン、ホウレンソウなど24品目の野菜を生産している。販売は直販ショップが中心。また、スーパーの一つのコーナーを提供してもらい、地場の野菜を販売する。ある店舗では、地場の野菜が占める率が半分近くまできたという。

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 スーパーと野菜の販売価格引き上げについて協議すると、「客は安い物を求めている」と言われる。しかし、飯野氏は「そうではない。客は良い物と正しい情報が欲しい。口に入れ、血肉になる物だから当然だ」と反論。「品質が良くなかったり、情報が足りなかったりする物を客は手に取らない。われわれは品質と情報、そして『顔』という形で売っている。スーパーは良い物を適正な価格で提供すれば、客は満足して帰る」と語り、品質に加え情報の重要性を強調した。

 スーパーに夏に行っても冬に行ってもレタスがある。飯野氏は「農協組織による物流と産地リレーは誇るべきものだ」とした上で、「これからは情報を流通させることがお金になるのではないか。これは他産業と組むことで十分にできる」と語った。

◇農業教えビジネスに

 飯野氏は「リタイアした高齢者で貯蓄額が同じでも、野菜などを育てた経験がある人の方が将来に不安を感じない」という話を紹介。「不安を感じている人に農業を教え、お金をもらう。農業を学ぶ場所が観光地になる。それがこれからの農業の新しいビジネスだ」と展望を語った。

 特に強調したのは、現在あるものを最大限に生かすという点だ。

 「環境を売り物にする。中山間地のロケーションはとても良い。農村の年中行事を体験したり、農業の雰囲気、においを感じてもらったりする。『心のふるさと』を見つけ、普段できない事を体験してもらって、お金を落としてもらう。そういう新しい農業ができないだろうか」

講演プログラム