変わる日本の農業 ~付加価値増の農業経営とは~

パネルディスカッション

企業×行政×JA×専門家のパネルディスカッション

〔パネリスト〕

鳥取県 農林水産部次長安養寺 寿一 氏
株式会社NTTドコモ 第一法人営業部上原 宏 氏
全国農協青年組織協議会副会長埼玉県農協青年部協議会委員長飯野 芳彦 氏
全国農業協同組合中央会常務理事金井 健 氏
一般社団法人日本事業構想研究所代表理事東京農業大学教授木村 俊昭 氏

〔コーディネーター〕

時事通信社 デジタル農業誌Agrio編集長増田 篤

◇ICT活用が普及

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 パネルディスカッションでは、農業に関わる情報通信技術(ICT)やモノのインターネット(IoT)の最新動向も紹介された。

 和牛を多く飼っている島根県隠岐諸島で牛が崖から転落する事故がよく発生。そこでNTTドコモの社員が、通信機付きの全地球測位システム(GPS)の端末を牛の首に付け、牛が危ない所に行かないかどうかモニタリングを行った。同社農業ICT推進プロジェクトチーム担当部長の上原宏氏は「そんな地域ならではの取り組みが他にも幾つかあった。その地域だけで閉じたままにしておくのはもったいない、全国的に広げる枠組みをつくりたいと考え、プロジェクトを立ち上げた」と説明した。

 「畜産や酪農、水田などの現場にセンサーがたくさん設置され、ネットワークを通してサーバーにデータを上げる。それを生産者がスマートフォンやタブレットで見て生産効率を上げるなど、いろいろな形で利用してもらう。そういう事が何年かのうちに普及していくだろう」

 上原氏はこんな見通しを示すとともに、二つの具体的な課題を挙げた。一つが低コスト・省電力化だ。多くのセンサーにつなぐネットワークを実現するためには、コストを安くする必要がある。また、大きな水田や牧場では電源が確保できないので、乾電池1個か2個の電力でどれだけ長く持つかが鍵になる。

◇ドローンでデータ収集

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 二つ目は「距離も、データも稼がなければならない」というケースだ。これにはアクセスポイント自体をセンサーに近づけるアイデアがあると言い、ドローン(小型無人飛行機)の活用に注目する。上原氏は「ドローンがセンサーを巡回しながら、データを拾い上げていく。いわば『データの宅配便』だ。ドローンによる空撮画像を解析できる技術でも、私たちは貢献できる」と話した。既に、ドローンを使い、新潟県の海岸保安林で害虫に感染した松の個体を見つけ出す実証実験が進行中だという。

 上原氏は「私たちの目標は『シンプルにつなぐ』だ。生産、流通、消費者を結び、情報が流通するようにする。ひたすら『つなぐ』ことに頑張り続けたい」と結んだ。

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講演プログラム