変わる日本の農業 ~付加価値増の農業経営とは~

講演(3)

「付加価値増の農業経営を支援する鳥取県の取組について」

鳥取県 農林水産部次長

安養寺 寿一 氏

◇GI登録で付加価値

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 日本でも昨年から地理的表示(GI)保護制度が始まった。昨年3月に「農業活力増進プラン」を策定した鳥取県は、「産地力をアップし、農業所得を高める」ことを基本方針の一つに掲げた。その重点的施策がGIへの積極的な対応だ。

 同県農林水産部次長の安養寺寿一氏は「東部でラッキョウ、中部でナガイモ、西部ではシロネギを生産している。特徴のある所で、特徴のある農作物を作っている」と鳥取農業の現状を説明。GI取得の狙いについて「地域ブランド産品として差別化を図り、価格に反映したい」と話し、特産品のラッキョウで「鳥取砂丘らっきょう」と「ふくべ砂丘らっきょう」の二つの名称がGI登録されたことを紹介した。

 鳥取砂丘に隣接する砂丘畑の特性を生かして栽培するラッキョウには、100年以上の歴史がある。色が白く、きめが細かくて締まっている。食感はシャキシャキとし、歯触りが良い。

 安養寺氏はラッキョウのGI取得の成果として「マスコミの取材が増え、メディアの露出度が高まった。単価も安定していて、今年はふくべだけで10億7000万円と過去最高の販売額を記録した。若手の経営者も元気になっている」と報告した。

 GIによって農業に弾みをつけようとする鳥取県は今年3月、冷涼な気候条件を生かした「日南トマト」を、10月には肥沃(ひよく)な土壌から生まれる「大山ブロッコリー」を申請。現在、国が審査中だ。これらに続く申請も検討中で、「GIの取得を進め、ぜひ県産品の高付加価値化を図りたい」と意欲を示した。

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 ただ、安養寺氏は「一方で課題もある。GIが事業者や消費者にあまり知られていないことだ」と指摘した。東京と大阪でGI制度を知っているかどうか尋ねたところ、認知度は東京で14%、大阪では16%にとどまったという。安養寺氏は「この制度を本格的に運用するためには、もっと認知度を上げる必要がある」と述べた。

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