変わる日本の農業 ~付加価値増の農業経営とは~

講演(1)

「地方創生 成功の方程式はあるのか?」

一般社団法人日本事業構想研究所代表理事
東京農業大学教授

木村 俊昭 氏

◇「五感六育」の勧め

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 町づくり、人づくりには何が必要か。木村氏が唱えるキーワードが「五感六育」だ。五感は甘い、しょっぱい、酸っぱい、苦いとうま味のことだ。六育のうち、生産者が作った物を地元の子どもたちに食べてもらい、五感を体験してもらうのが食教。木に親しむ施設を造り、祖父母と孫、父母と子どもが向かい合う機会をつくるのが木育。特に木村氏は「人は自ら知り、気付く機会がないと行動に移さない。難しい専門用語で話されても、言っていることが分からない。納得し、理解してもらわないと人は動かない」と述べ、知育の大切さを強調した。

◇役割分担で地方創生

 「失敗している町では、誰にどんな事をやってもらうかというストーリーが全く描かれていない。行き当たりばったり、部分、個別で動いている」。こう繰り返した木村氏が地域創生の成功例として挙げたのが茨城県行方市の「なめがたファーマーズヴィレッジ」だ。

 「あの小学校を何かの形で残してほしい」。そんな市民の声を受け小学校跡地の活用を模索する行政。規格外だからと、せっかく作ったサツマイモを捨てていた農家。そこで、行政、農家と農協、「規格外でも買い取る」という企業が役割分担し、跡地にサツマイモ加工工場やレストランなどを備えた体験型農業テーマパークをオープンした。

 木村氏は「農家の所得は上がり、ブランド力を高めた」と評価。「もう二度と戻ることはない」と言って県外に就職した農家の24歳の女性が戻って来たと聞き、会いに行ったという。

 「みんなが一体感を持って汗を流すのを見たら、私も戻らないといけないと思った」

 木村氏は「その話を聞いて、本当にうれしかった」と喜びをあらわにした。

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