変わる日本の農業 ~付加価値増の農業経営とは~

講演(1)

「地方創生 成功の方程式はあるのか?」

一般社団法人日本事業構想研究所代表理事
東京農業大学教授

木村 俊昭 氏

◇人的ネットワークが需要

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 続いて全国各地を回り地方の事情に詳しい木村氏が講演し、「47都道府県をくまなく歩いていると、どうしてこういう状況が起きているのか、なぜだ?と思うことが多々ある。しかし、地元の人々はなぜだと思わなくなる。どうしてこんな良いものがあるのにそれを生かさないのかだろうか」と問題提起した。

 ある地域を活性化するための総合戦略作りに当たり木村氏はまず、「この町の基幹産業は何ですか。どのように生計を立てていますか」と尋ねるという。「次は」と聞いていくと、2番目が卸・小売業、3番目は観光、4番目が建設業関係などという答えが返ってくる。どうしてこんな質問をするかと言えば、「産業ネットワーク図」を描く材料とするためだ。

 その前段として重要なのが、人的ネットワーク図だ。「キーパーソンを取り巻くネットワークがどう構築されているのか。キーパーソンとそれを支えるネットワークがないと、『これをやってください』と言ってもできない。ネットワーク図が書けないというときには、キーパーソンを支えるパートナー、ブレーンが必要だ」と木村氏は言う。

◇「全体最適」考えよ

 地域活性化のために関係者は一生懸命汗を流しているが、なかなかうまくいかない。「なぜ、この町は発展しないのか」「なぜバラバラなのか」―。木村氏はそうした嘆きをよく聞くとした上で「農村地域と言えば農村地域、商店街と言えば、商店街、温泉街と言えば温泉街という『部分最適』で考えている。しかし、農村地域も、商店街も、温泉街も単体で生きているわけではない」と指摘した。

 その上で「最も自分の町を支えているのは何か。主産業が農業であるなら、それを他産業とどういう形で関連付けし、全体を最適化するか、ということを考える。関係者が情報を共有し、行政や農業団体などが役割分担し、事業を構想していかなければ町は成り立たない」と説いた。

 木村氏は地域に企業を誘致する際の問題点も取り上げた。市長が懸命に企業を回り、「ぜひ私たちの町に来てほしい」と要請する。誘致するための方策として、上下水道を整備し、土地代を安くし、固定資産税を減免する。よくある例のように見えるが、木村氏は「順番が違う。『何でもいいから、この町に会社を興してほしい』と言うのはむちゃだ」と苦言を呈した。

 「町で不足してる部分、弱い部分をつかみ、まず自分たちで事業を興せないかを考える。それができない場合に、『こういう事情で、地元は企業を求めている。来てもらえないか』と企業に頼みに行く。これが普通の順番だ」

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