農業の未来像探る=高付加価値への道=
農業の未来を考えるセミナー「変わる日本の農業~付加価値増の農業経営とは~」が10月28日、東京・銀座の時事通信ホールで開かれ、自治体関係者らが参加した。小泉進次郎自民党農林部会長は基調講演で農業を地方創生の柱に位置付けた上で、「今の農業の最大の課題はTPP(環太平洋連携協定)を乗り越えることではなく、農政改革だ。このタイミングでやらなければ二度とできない」と主張。日本事業構想研究所代表理事の木村俊昭氏は茨城県などにおける地方活性化の成功例を踏まえ、「人的ネットワークを構築し、行政や農協、企業が役割を分担することが重要だ」と指摘した。
鳥取県の農政担当者は、ラッキョウをはじめとする特産品の高付加価値化への取り組みを紹介した。埼玉県の農業の現場からは、地場野菜の販売で成果を挙げている取り組みと、生産物の販売だけに頼らない新たな農業の可能性が報告された。
(2016年12月)
「なぜ今農政改革か」と題して基調講演した小泉氏は「一言で言えば、持続可能性を失った農業に持続可能性を取り戻さなければいけないからだ。魅力がある日本の多様な農業、高品質の作物を生み出す日本の農業を次世代につないでいくためにやらねばならないことはたくさんある」と訴えた。・・・
続いて全国各地を回り地方の事情に詳しい木村氏が講演し、「47都道府県をくまなく歩いていると、どうしてこういう状況が起きているのか、なぜだ?と思うことが多々ある。しかし、地元の人々はなぜだと思わなくなる。どうしてこんな良いものがあるのにそれを生かさないのだろうか」と問題提起した。・・・
全国農業協同組合中央会常務理事の金井健氏は「世界の農業は画一化と多様化に分かれている。画一化は同じ物を大量に低コストで生産する。・・・
日本でも昨年から地理的表示(GI)保護制度が始まった。昨年3月に「農業活力増進プラン」を策定した鳥取県は、「産地力をアップし、農業所得を高める」ことを基本方針の一つに掲げた。その重点的施策がGIへの積極的な対応だ。・・・