iJAMP自治体実務セミナー

第3部 総括

「農協は地域のインフラ 〜改革は長いタームで〜」

三重大名誉教授石田 正昭氏

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 農協は道路や橋、学校、郵便局などと同じ地域インフラだ。米価が下がると農協の集荷量が高まる。農家にとって使い勝手が良い組織、地域住民にとってなくては困るが、あっても困らない組織が農協だ。農協の大目的は農家の福祉向上だ。農業所得の向上を図ることだけではない。福祉とは「生き方の幅を広げる」可能性を高めること。そういう地域社会にしていくには、地域住民、市民が動かなければならない。

 (アイリスオーヤマが販売する)オーヤマ米とJA米はどこが違うのか。JA米があってのオーヤマ米であり、ニッチ戦略としてオーヤマ米が成立する。オーヤマ米はあくまでニッチであり、メーンにはなり得ない。生産者からコメを集めることは「点」を集めることだ。

 そういうコメを作る農業経営には良いが、問題は「面」だ。点は地域農業の振興に結び付かない。面を集めるJA米を作っていくことが重要だ。

 戦後農協の使命は自作農を保護すること、二度と小作農に転落させないようにすることにあった。その現代的解釈が必要だ。今、いろいろなタイプの農家が現れている。この人たちをしっかりと守ること。その意味で農協は、地域住民である定住者が協力し合えるような「幸せづくり」に力を入れなければならない。組合員制度の自由化は不可欠だ。農協の理念、目標に賛同する人が事業を利用する。正組合員は減らさない。准組合員は増やしていこう。

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石田 正昭(いしだ まさあき)氏

1948年生まれ。東京大学大学院農学系研究科博士課程満期退学。農学博士。三重大学大学院生物資源学研究科教授、特任教授を経て2013年4より現職。京都大学大学院農学研究科(農林水産統計デジタルアーカイブ講座)研究員を併任。
主な著書は、単著に『JAの歴史と私たちの役割』(家の光協会)、『農協は地域に何ができるか』(農山漁村文化協会)、『ドイツ協同組合リポート 参加型民主主義―わが村は美しく』(全国共同出版)、『農家行動の社会経済分析』(大明堂)。編著に『なぜJAは将来的な脱原発をめざすのか』(家の光協会)、『農村版コミュニティビジネスのすすめ』(家の光協会)、『循環型社会の構築と農業経営』(農林統計協会)、『農業経営支援の課題と展望』(養賢堂)など多数。2000年より『JA経営実務』(全国共同出版)の「資格試験・農協論」を担当。

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