iJAMP自治体実務セミナー

第3部 総括

「農協は地域のインフラ 〜改革は長いタームで〜」

三重大名誉教授石田 正昭氏

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 地方創生の主役は政府や大企業ではなく、「市民」だ。市民とは地域社会に責任を持つ人。文化や社会、山、農地、芸能などを定住者として受け継ぎ、守ってきた人のことだ。定住者を中心に地域づくりをしていくことが重要だ。定住者である農協、組合員が立ち上がらないことには、本当の意味の地方創生にはならない。主役の中に農協が加わっていかなければならない。

 安倍政権の進める改革は、改革のための改革、結論のための改革だ。戦後農協のアイデンティティー、特性を無視した改革はあり得ない。

 戦後農協は産業組合、農会、米国の販売農協という三つの性格を持っている。信用事業を核としていろいろな事業を行う産業組合は、地域の人々が差別なく入れる地域組合の性格を持っていた。農会は技術指導などを行う農業者の組織で、米国の販売農協は農産物を売るために結集した職能組合だ。農協は生まれながらにして地域組合であり、職能組合であるのに、准組合員を排除しようとする政権の姿勢は地域組合を否定している。

 農家は400年以上の歴史を持つ定住者の集団だ。1600年以降、家を維持することを一番の規範としてきた。地域の中で葛藤もあっただろうが、協力しながら生きてきた。農協はこの人たちを基盤としてできている。

 農協の表層は経済だが、海には流れが遅い深層がある。深層とは地縁、血縁といった人的関係だ。法人経営は機械産業なら誰でもできる。問題は水や草などの資源管理だ。これが安心できないと、農地は預けられない。ただ、深層も時間をかければ変化する。世代が交代すれば、変化する。だから、改革は1年とか5年といった短いタームではなく、50年といった長いタームで考えないといけない。性急な農協改革は百害あって一利なしだ。次ページに続く ≫

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