iJAMP自治体実務セミナー「日本農業の成長産業化を目指して」

iJAMP自治体実務セミナー
「日本農業の成長産業化を目指して 〜未来に繋げるヒントとは〜」

第5部 総括・提言

「食料・農業・農村の将来を考える」

宮城大学 食産業学部教授/博士(農学)
川村 保氏

 農地をめぐっては既に構造変化が進行している現状から分析を進め、発想の転換を求めた。まず、「日本は国土が狭く、日本農業にとって土地が最大の制約条件だと言われているが、本当にそうなのか」と昔からの定説に疑問を呈した。全国的に耕作放棄地の発生に歯止めがかからず、耕地面積の利用率が100%を下回る状態が継続している点に着目。「農地はかつてのように希少なものではないと考えた方がよい」との見方を示した上で、「農地が余り、ようやく規模拡大、農業の構造改革を実行する時代が来た」と述べた。

 川村教授の分析によると「急速に生産の規模拡大が進む条件がそろってきた」という。農業・農村を待ち受ける課題はこの大きな変化にいかに柔軟に対応するかであり、対応の巧拙次第で「地域間の格差を生み出す可能性が十分考えられる」と警鐘を鳴らした。

 政府が推進している農協改革に関しては「全国の農協は一枚岩だと思われているようだが、各地の農協は実に多様だ」と指摘。創意工夫にあふれた経営を行い、世間の農協批判とは全く無縁の組織も多いと一方的な農協悪玉論に懐疑的な見方を示した。その上で「農協全体を見たとき、まだまだ(農業の成長産業化への貢献が)期待できる」とエールを送った。

 最後に「世の中は市場原理、競争原理、効率だけでは動かない」と力説し、「農業・農村に対する正しい理解と共感を得て、日本全体で農業の将来像を議論できる方向に持っていかねばならない」と述べ、講演を締めくくった。

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