◇農地情報公開システムを活用
山形県南陽市の農業の特徴は、基幹となる水稲をはじめ、ブドウ、サクランボ、リンゴといった果樹などとの複合経営にある。近年はワイン専用品種のブドウ栽培も増えている。
同市農業委員会ではeMAFFに先駆け、全国の農地情報を一元管理し「全国農地ナビ」で公開するための農地情報公開システムを整備した。同市農業委員会の嶋貫信一郎農地係長は「農地情報の公開にはナビへの参加が不可欠であり、最新情報の公開にはシステムの利用が不可欠だ。農業者に積極的に紹介し、活用している」と話した。嶋貫氏によれば、以前は農業委員が大量の地図を片手に現地確認をしていたが、タブレット端末一つでできるようになった。遠方に住む農業者からの土地の所在に関する問い合わせにも活用しているという。
システムの長所は、最新の台帳と地図とのフルリンクやデータを取り込み使えるようにしたり(インポート)、データを取り出し保存したり(エクスポート)する機能が豊富な点だ。耕作地の将来の見通しについて規模拡大・現状維持・規模縮小などや、貸借や売買の意向などを農業者へのアンケートに基づき色分けして表示できるため、農地の集積・集約化に役立つ。一方、短所は全国システムのため同市独自の運用に対応できないことで、特に帳票への対応が課題となった。嶋貫氏は「長所を生かすとともに、独自の支援ツールで帳票を作成するなどして短所を補った」と説明した。
これまでの農業政策の大きな転換点となり、農業スマート化への大きな前進となる」と、強い期待を示した。