◇路線拡充で地域交流の幅広げる

 竹内氏 パネルディスカッションは「地方と都市圏をつなぐ新たな発想とは」がテーマだ。シンポジウムの総合タイトル「地方空港の活性化とリージョナル航空の可能性を考える」の観点から、それぞれプレゼンテーションを。

 森住氏 茨城空港は東京都心まで80キロメートル、車でおよそ85分と近く、まさにセカンダリー空港と位置付けられる。ローコストであることが何よりの強みだ。弱みとしては知名度の低さと二次交通が挙げられ、改善策として、常磐道と空港を真っすぐにつなぐ道路づくりや東京までのワンコインバスなどに取り組んでいる。フジドリームエアラインズ(FDA)が就航してから人と人、地域と地域のつながりが実現できた。戦略も必要だが、まずは地域間交流の幅を広げることが、地域の交流人口増、地域発展の基盤となる。

 高橋氏 静岡空港は東京、名古屋に近いため、羽田やセントレアに路線が結べない。特徴として、国内線では遠隔地にある地方空港への路線展開、国際線では大都市圏の空港と組み合わせた広域観光需要の取り込み、3点目として運営権制度の導入が挙げられる。これからも路線の誘致・利用拡大を図りたい。2018年3月に就航した静岡―出雲線は需要調査を上回る利用がある。リージョナル航空により、地方と地方が結ばれ、小さな交流の芽が大きく花開く可能性がある。

 青山氏 離島の小さな町であってもきちんと情報発信できる仕組みがあるべきだ。その一環として、1年ほど前から「離島キッチン」という名前を書いた移動販売車を首都圏で走らせ、特産品を売った。5年ほど前からは、東京、福岡、札幌にアンテナショップをオープン。誘客も図っている。今年3月末に勤めていた海士町役場を辞め、「離島百貨店」を立ち上げた。そこで全国の離島のポータルサイトのようなものを、実店舗を持ちながら展開したい。ターミナル施設の活用も同様の考え方をベースに進めたい。

 竹村氏 松本空港は災害時の拠点のほか、全国各地・海外と長野県を直接結ぶ空の玄関口、交流やにぎわいの創出拠点という二つの役割を担うべきだ。そうした空港に育てることが地域の活性化にもつながる。この観点から、国内路線の拡充、空港の国際化、観光・にぎわいの拠点としての活用、空港施設の機能強化の四つを柱に取り組み方針を定めた。ほかに、二次交通の充実、空港の運用時間見直し、運営への民間ノウハウ導入も検討したい。信州まつもと空港はさまざまな制約から使い勝手が悪い部分もあるが、個性的で美しく、快適・機能的なにぎわいのある空港にしたい。


◇リージョナル航空は地方同士の路線が基本

 竹内氏 リージョナル航空の路線の張り方について、各空港の立場からどのような意見・見解があるか。セカンダリー空港としての需要は欲しいか。まず竹村さんの意見を聞きたい。

 竹村氏 ローカル・トゥ・ローカルを基本とし、羽田や成田とつなぐことは考えていない。
 まずは福岡、札幌線、今度就航する神戸線の複便化をしたい。それだけの需要の掘り起こしをしなければならない。そうすれば、運用時間も含めたソフト面の機能強化につながる。

 竹内氏 リージョナル航空の一番のセールスポイントはいつでもすぐ飛べることなので、複便化の重要性は指摘の通りだ。もっと地方にある隠岐空港に関し、ユーザーの立場から見解を。青山さんどうぞ。

 青山氏 便利になるのは良いが、逆に滞在型の人も増えているので、目的を明確にした受け入れ拠点が隠岐空港にあればよい。そして、受け入れる側のコンテンツが磨かれれば客が来るような気がする。

 竹内氏 離島という立場からは、航空路線の張り方についても特殊な見方・要望があると思うがどうか。もっとローカルな話でもいい。

 青山氏 隠岐空港は諸島の玄関口であるが、島民にとっては船のダイヤが悪かったら使いづらい。観光客目線で考えるなら1カ所でしっかり機能することが重要だが、自分の自治体の島民のためにという発想になるとそこに目がいかない。いかに来てもらうかという視点に転換して連携するべきだ。

◇インバウンド、セカンダリー需要取り込みも

 竹内氏 静岡空港は完全な地方空港でもセカンダリー空港でもない。高橋さんはこれをどう考えているか。

 高橋氏 空港の下に新幹線が通っており、新駅の構想がある。これが実現すると空港から東京まで1時間で入れるため、セカンダリー空港になるだろう。地方と地方を結ぶという点では、遠くて行きづらい東北や四国にも路線を張りたい。国際線については、インバウンド需要が増え、羽田の容量が拡大したとはいえ十分に賄い切れない。需要をしっかり取り込みたい。FIT(海外個人旅行) 化が進む中、静岡に滞在してもらう工夫もしなければいけない。

 竹内氏 セカンダリー空港として売り込む立場の森住さん、説明をお願いします。

 森住氏 茨城空港は東京に近いのが特徴だが、東京のためだけの空港でいいのか、いつも自問している。茨城と隣の栃木、群馬の3県庁で茨城空港利活用部会を立ち上げ、北関東に後背圏を広げるための取り組みをしている。3県で連携すれば、インバウンドにとっても茨城だけのときより魅力が付加される。

◇地方滞在・周遊の仕組みづくり

 竹内氏 空港を利用した地域づくりの進め方だが、地域振興を考えるとすれば、中心はやはり観光だろうか。それ以外に考えていることはあるか。いずれにしても地域の個性をアピールする必要があると思う。青山さんはそのあたりをどう考えているか。

 青山氏 個々に情報発信すると効率が悪いので、空港を拠点に情報をまとめ分わかりやすく発信し、気づいてもらう戦略もあっていい。そのためのターミナルの活用方法などの視点で観光振興に取り組むとよい。

 竹内氏 静岡の高橋さんに聞く。地域を売り込むのはやはり観光か。

 高橋氏 観光誘客は地域の活力にとって欠かせないので、そこはしっかり押さえていきたい。ほかに、静岡は自動車産業が多く、九州などにもその拠点があるので、ビジネスの利用を掘り起こさなくてはいけない。

 竹内氏 観光に力を入れている松本空港は、インバウンド客に対してどんな働き掛けをしているのか。

 竹村氏 チャーター便の実績を積み上げるため、エアポートセールスのような取り組みをしている。気持ちよく手続きを踏んで信州への旅に出向いてもらえるよう、CⅠQ(出入国の手続き)の機能や案内の仕方をまず強化していかないといけない。

 竹内氏 国際線についてどういう方向に働き掛けようかという目論見は今のところないのか。

 竹村氏 例えば東南アジアの方は雪を見るだけで喜ぶ。ウインタースポーツや山岳観光といった長野県の魅力をしっかりPRし、冬場に限らず夏期シーズンも含めて誘客を図っていきたい。

 竹内氏 観光ではないと思うが、茨城空港は地方空港の中では国際線が随分入ってきている。今後どう発展させていくつもりか。

 森住氏 インバウンドも増やしたい。なるべく地元に滞在してもらいたいので、そのための仕組みづくりに腐心している。東京と北関東の両方を満喫できるとして路線を誘致し、その後いかに地元で周遊してもらうかという考えで取り組んでいる。


◇地方空港は災害対策の重要拠点

 竹内氏 もう一つ、地方空港の存在意義に関して話したい。私が県営名古屋空港の基本計画を策定したときは、リージョナル航空、産業用航空、ビジネスジェット、防災の各拠点という四つの柱を立てた。竹村さんに防災拠点としての重要性についてお話いただき、締めくくりたい。

 竹村氏 今回の台風19号災害で、長野県は道路・鉄道といったインフラにも大きな被害が出た。まさに陸の孤島状態だった。そんな中、信州まつもと空港は自衛隊や各県の応援ヘリによる救助活動などの拠点となった。こうした状況になり、災害対策の拠点としての空港の意義、全国各地と空路で直接つながることのありがたさを改めて感じた。

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