私の本籍は三菱地所。きょうは民間の取り組みを説明する。下地島空港はパイロット訓練用空港として1979年にでき、県が管理してきた。3000メートルの滑走路や大型機が駐機できる非常に大きなエプロンを有している。89年に南西航空(現JTA)の定期便が就航したが、94年には運休。日本航空は2011年、全日空も13年に訓練から撤退した。
 多大な赤字を抱えるようになった沖縄県は、14年10月に民間事業者を公募。三菱地所が旅客ターミナルを造ることで17年3月に基本合意した。空港自体は引き続き沖縄県が運営・管理し、三菱地所はターミナル運営会社の下地島エアポートマネジメントを現地に設立した。ターミナルは今年3月開業した。
 宮古島には宮古空港が既にあったが、増加する観光客をさばき切れなくなったため、空港機能を強化する目的で下地島空港を旅客化する話を三菱地所が持ち込んだ。小さな場所の二つ目の空港になるので、空港からリゾートが始まって空港でリゾートが終わるというコンセプトを掲げ、空間づくりや動線などについて観光客に特化する前提で造った。
 リゾート路線はもうかりにくいので、さまざまな工夫により航空会社の就航コストを低減。カウンターは場所貸しではなく、各社が時間帯によって共用で使うようにした。国際線の旅客への飲食・土産物の提供では、コスト面を考えて内際共用ラウンジを設けた。ボーディングブリッジがないことや、航空機の自走イン・アウトも特徴的だ。また、システムはターミナル側が用意し、航空会社には搭乗者や預け荷物の数に応じて利用料を払ってもらう形にした。

◇香港、台湾、上海、ソウルに照準

 国内線については、首都圏までを対象に営業活動をしている。国際線は香港、台湾、上海、ソウルの4カ所がターゲットだ。便数に加え、利用者も増やさなくてはいけない。A320が1便入ると、沖縄県発表の数字に基づく試算で島に35億円のお金が落ちる計算になる。島の方々と一緒にビジネスをしていく上で大切なところだ。国内線営業のついでに訓練の誘致も行い、キャセイパシフィックが9月から訓練を開始した。これにより沖縄県には億単位の利用料が入る。われわれの会社にお金は入らないが、周辺環境の整備などをしてもらえれば空港の価値が上がる。
 宮古島市の観光収入増に寄与するには、行政や航空会社、飲食・土産物店などと広くスクラムを組んだ協業が必要。路線誘致については県、市をはじめとした5団体と連携し、各国に出向いて路線の商談会に出たり、国内外の旅行会社を現地視察に招待したりして進めている。クルーズ船の観光客を取り込むため、フライ&クルーズ(航空機による移動とクルーズを組み合わせた観光スタイル)の仕組みづくりも国交省、県、宮古島市と検討している。
 ジェットスターと協力して若者向けコンテンツの発信に取り組み、観光客の年齢層を広げる試みもしている。地域産のオリジナルブランド品も売っている。情報発信力も今後の観光に向けて重要だ。
 こうした目標の達成に向け、ベンチマークとして石垣島を設定。旅行者数やホテルだけでなく、飲食店やタクシーの数も関係するので、これらの数字を市や経済団体と共有しながら進めている。
 さらに上のベンチマークはタイ・サムイ島。面積・人口は宮古島とほぼ同じで、ダイビング、ゴルフなどコンテンツも一緒。サムイ島も空港開港をきっかけに観光地として人気が出た島であり、欧州からの客がバンコクやシンガポール経由で来ている。一方、宮古島と東アジアの主要都市との位置関係を考えると、東京が一番遠く、手前にソウル、上海、台北、香港がある。こことどうネットワークを組むかによってインバウンドの数も変わってくるとの観点から誘致を図っている。

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