松本空港は長野県の真ん中に位置し、首都圏・中京圏・関西圏から見てもほぼ真ん中にある。県内主要観光地との距離が近く、東京や名古屋、北陸などへのアクセスも良いため、観光客のニーズに合ったさまざまな周遊ルートに組み込んでもらうチャンスがある。
 空港は標高657.5メートルと日本一。周囲に3000メートル級の山々が迫っているので、飛び立つときに日本アルプスの美しい風景が見られる。他方、標高の影響で飛行機の揚力が出にくい上、山も近いためパイロットにとっては難易度が高い。滑走路は2000メートルあるが、大きな飛行機は就航できない。このため、リージョナル航空が主力のコンパクトな空港を志向する戦略を立てている。もう一つの特徴は、周りを都市公園に囲まれ、来訪者や周辺住民も楽しめることだ。現在開設されているのは札幌線1便と福岡線2便。この週末には神戸便も1便就航する。
 供用開始は1965年。94年にジェット化を開始した。当時は日本エアシステムが大阪線、福岡線、札幌線を運航していた。その後、広島、仙台、関空とつながったり、松山、高松とつながったりした時期があった。これだけだと順風満帆に見えるが、航空業界は大型化が進み、大きな機材が入れない松本空港は苦戦していた。そして2009年、日本航空から撤退の申し出があり、定期便がなくなるという危機的状況を迎えた。
 そこで、設立間もないフジドリームエアラインズ(FDA)に働き掛け、就航してもらうことになった。ここから空港とFDAの二人三脚が始まった。日本航空のラストフライト翌日の10年6月1日、同社の路線を引き継ぐ形で FDA の札幌線・福岡線が就航。そのおかげで信州まつもと空港は一日も間を空けずに定期便を飛ばし続けることができた。現在、県や市町村、地元経済界が連携し、空港利用促進協議会などを設立してさまざまな支援を行っている。

◇地方都市間ネットワークの核に

 地方空港には、世界の空の玄関口、観光など交流の基盤という意義がある。長野県の位置を考えると、松本空港は交通の大動脈の一つの核になり得る。今回の台風19号による災害のように鉄路・道路が寸断された場合には、救助活動の拠点として重要な役割も果たす。
 もう一つの意義はやはり、地方と地方を結ぶことだろう。信州まつもと空港については、遠く離れた地方都市とのネットワークの核になるよう運用を考えている。FDA とは考え方が一致しており、地方空港の在り方に関し一つのモデルになり得るのではないか。
 16年に信州まつもと空港の発展・国際化に向けた取り組み方針を策定した。大きく分けて四つの柱を掲げた。まず国内路線の拡充だ。年々減少していた国内線の旅客数は10年以降、右肩上がりで伸びている。また、福岡便が15年に複便化され、国内チャーター便も年間100便を超えた。季節便としては昨年度から札幌丘珠空港へ就航。待望の神戸路線も10月27日に就航する。
 国際化に向けては、訪日誘客支援空港の育成支援型2空港の一つに認定され、もう一つの育成支援型である下地島空港と協力して何かできればと考えている。順調に伸びている国際チャーター便は路線の多角化が課題だ。国際乗り継ぎ便によるツアーの企画・販売も行っているが、神戸線就航は信州まつもと空港の国際化に向け大きな武器になるだろう。
 最後に、にぎわいの拠点として飛行機に乗らなくても来たくなる空港にするため、空港と周りの公園を一体とした盛り上げ策を考えていることも付言しておく。
 大都市圏への一極集中から脱却するには、飛行機も「地方と地方を結ぶ」路線の充実が必要だ。そのモデルケースになれるよう、引き続き取り組んでいきたい。

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