自治体事例①

「データヘルス計画」の医療・介護データから保健事業の見直しへ

日光市 健康福祉部健康課副参事 兼班長 兼調整担当リーダー

藤巻 郁子 氏
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 栃木県日光市健康福祉部健康課副参事の藤巻郁子氏は、医療や介護などのデータに関する緻密な分析に基づく保健事業の見直しについて紹介した。

◆ 健康データ分析を武器に―日光市

 2015年の国勢調査によると、65歳以上の人口は日光市が32・4%、栃木県が26・0%、国が26・6%だ。65歳以上の高齢者の割合が国や県と比較して約6%も高い。一方、17年の出生率は県内25市町中18位だ。

 日常の生活圏域である「地区」を見ると、13地区中3地区で高齢者が地区住民の約半数を占めている。また、高齢者世帯の内、約半数が高齢者1人だけの独居世帯である。健康寿命は女性が83・42歳で、県平均とほぼ同じだが、男性では78・47歳と県平均を下回る。

◆ 健康悪化してから受信

 日光市は14年度に「第1期データヘルス計画」を策定した。健康づくりや疾病、介護の予防を目的とした事業には複数の部署が関わっている。策定に際しては、各種の統計資料を作成し、多角的な分析をすることで事業の効率化と連携の強化に役立てることを目指した。

 14~17年度の国民健康保険加入者の医療機関への受診率を見ると、県平均より低い。17年度は日光市が72・72%、県が77・09%だ。一方で、同じ期間の被保険者1人当たりの診療費は県平均より高い。日光市民は健康状態が悪くなってから医療機関を受診するという傾向があるようだ。

◆ 事業見直しに優先順位

 同市は糖尿病や高血圧性疾患、虚血性心疾患など生活習慣病が占める医療費の割合が高い。人工透析患者数は数年、右肩上がりに増加。糖尿病検査でこの病気と密接な関係がある「HbA1c(ヘモグロビン・エイワンシー)」の数値が高い市民が増えている。ただ、すべての疾病対策を十分にできるだけのマンパワーや予算の確保はできない。そこで事業を整理し、めりはりをつけ、優先順位を設けた。

 第1位は脳血管疾患と心疾患、2位が慢性腎不全で、以下はがん、歯および口腔内疾患、骨粗しょう症と続く。

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◆ 骨粗しょう症検診を拡大

 優先的課題の第5位とはいえ、骨粗しょう症対策は極めて大事な問題だ。日光市は「要介護度別疾病分類統計表」を作成した。それによると、脳血管疾患や高血圧性疾患が多いが、要支援1と2、要介護1~5のどの段階でも骨折が約1割を占めている。 年齢が上がるに連れて骨折の割合は増える。60代後半と70代前半では大きな変化はないものの、特に75歳以上からは急激な増加が目立つ。

 市民が参加する地域のイベントで骨密度測定を行うと、毎年、行列ができるほど関心が高い。若い人と高齢者が並び、順番を待つ姿が見られる。市の健診に関して、70歳以上の高齢者から「骨密度検診を受けたい」という連絡も毎年、寄せられている。

 そこで、日光市は骨粗しょう症検診のあり方を見直した。着目したのが後期高齢者を対象とした「はつらつ健診」の受診方法だ。集団検診を利用した人が医療機関健診などに比べて圧倒的に多く、例えば、18年度では80%に上る。そこで、集団健診における骨粗しょう症検診の対象年齢を16年度から拡大した。

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