◇農泊でファンを拡大
石狩平野の南端に位置する北海道長沼町は、かつてコメの出荷で全国一を誇った。戸川雅光町長は「現在、転作率は80%を超え、ブロッコリーやトマトの栽培も増えている。酪農も営み、北海道の農業の縮図が見られる」と語った。同町は今、「グリーンツーリズム」事業で実績を上げている。
05年から17年にグリーンツーリズムで受け入れた人数は約4万9300人。18年中に5万人を突破する。同町やJAなど9団体で構成する推進協議会がバックアップ体制をつくり、受け入れ農家による運営協議会が料金や事業内容などを決める。
訪れた人の割合は高校生の修学旅行が最も多い。戸川町長によれば、「農家の大切さを知った」「野菜のおいしさが分かった」など、グリーンツーリズムを体験した高校生らの反応は上々だ。
高校卒業後に、友人同士や家族同伴で長沼町を訪れる。高校などの学園祭で長沼町産の野菜を販売する。家族や親戚、引率した教師らが定期的に同町産のコメや野菜を購入する。農作業体験で植えたコメを給食で提供する。年賀状のやりとりや「母の日」と「父の日」に泊まった農家に贈り物をする。交流が続くことが大事だと分かる。
17年には初めて、台湾からの修学旅行生が訪れた。女子高校の35人の生徒だ。各農家に伝わる着物を着てもらったり、雑煮を食べってもらったり。日本語ができる生徒は少なく、言葉の壁があった。しかし、戸川町長は「ホストの農家も何とか言葉を理解しようと努力したことで、交流が深まった」と話した。