◇スマート農業目指す
ビデオメッセージにより基調講演した農林水産相の吉川貴盛氏は「1989年に324万人だった基幹的農業従事者は2018年には145万人に減少した。農畜産業の有効求人倍率は全産業平均を上回る。平均年齢は67歳で、40歳以下は約1割とアンバランスだ」と指摘、深刻な人手不足と高齢化の中で農業の未来を切り開いていくための三つのポイントを挙げた。
まず、AIやロボットなどの先端技術を活用したスマート農業だ。一人で複数台を操作できるロボットトラクター、手間がかかる水田の水管理をスマホで行うシステム、AIを活用して熟したトマトを判別し、夜間でも無人収穫が可能なロボット。吉川氏は「スマート農業を速やかに社会実装したい」と意欲を示した。
次が、農地の分散を解消するための集積・集約化の加速だ。三つ目が女性など多様な人材が活躍できる環境づくり。吉川氏はまた、働き方の工夫として自動車メーカーのトヨタの『カイゼン』方式を採り入れ、無駄を徹底的に省いた事例や、女性が持つ消費者目線を生かした販売・加工を進めるため、短時間・フレックス制度を導入する事例を紹介。さらに「農泊の推進により旅行者を増やし、農業の魅力を広げる」などとし、「技術革新を含め農業は大きく変わっていく」と強調した。