成田が結ぶ地方と世界~LCCがもたらすインバウンド新時代~

パネルディスカッション

 <コーディネーター>
  一橋大学 経営管理研究科 教授/一般財団法人 運輸総合研究所 所長 山内 弘隆 氏
 <パネラー>
  Peach Aviation 株式会社 執行役員 事業戦略室長 轟木 一博 氏
  ジェットスター・ジャパン株式会社 取締役常務執行役員 藤岡 秀多 氏
  春秋航空日本株式会社 取締役会長 ワン ウェイ 氏
  成田国際空港株式会社 代表取締役副社長 長田 太 氏

運航時間と夜間飛行制限を緩和

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【山内】成田空港、LCC、インバウンド、地域振興をテーマに議論を進めたい。成田空港がLCCと一緒になってサービスを提供していることが日本経済全体に大きな影響を与えたし、成田の躍進につながったと思う。そうしたことを踏まえて成田はこれからどうあるべきか、LCCはどうなっていくのか、インバウンドや観光はどうなっていくのかについて議論してまいりたい。このパネルディスカッションからは成田空港会社の長田副社長に加わっていただくので、まずは長田さんから、成田の現状と見通しなどについてお話しいただきたい。


【長田】 成田やLCCについては大変な思い入れがある。そうした中で、2012年がLCC元年になってシェアが急増、17年には全体の30%を超えた。アジアには50%を超えているところもあるので、まだまだ成長の余地があると思っている。
 国内線旅客便のLCC就航都市は11都市から20都市になり、12月の高知、来春の宮古を加えると22都市になる。ジェットスター、春秋などに使っていただいている第3ターミナルは、第2ターミナルから500メートルほど北に歩いてもらうもので、15年にオープンした。3年たったが、すでに容量を超えているので、右側に移転、拡張しようと思っている。21年度末にはできる予定だが、ただそれまで待てないということなので、一時的に増築し、150万人ぐらいには対応できるようにと思っている。
 成田空港で一番問題なのは、都心からのアクセスだが、LCCバスと言っている低価格の高速バスが東京、銀座、大崎からほぼ10分おきに1000円くらいの値段で運行していただいている。こうしたこともLCC利用の増大につながっていると思っている。
 それから今年3月に、第3滑走路を造ることで地元と合意した。これに合わせて夜間飛行制限の緩和もしようと思っており、午後11時までの運航時間を午前0時まで延ばす。第3滑走路が出来上がった際にはさらに延ばして5時から0時半までにする。こうすることで運航の自由度も上がっていくのではないかと思う。


「LCCなら成田」が常識になるように


【山内】ここからは、成田空港をLCC各社はどう思っているのかと、成田空港に対する要望、注文をいただき、長田さんにお答えいただく段取りでいきたい。


【驫木】滑走路の増加に伴う空港のキャパシティー向上は大歓迎だし、運用時間は長いに越したことはない。成田空港の将来性については、日本最大の人口、経済を要する後背エリアがあるので、今後の空港の拡大に併せて、事業成長のポテンシャルも大きくなると思っている。その辺の事業性なども見極めながら拡大していきたい。


【山内】藤岡さんのところは、まさにハブというかメイン空港にしているわけだが。


【藤岡】われわれのお客さまの7割が成田を発着してきており、ここを拠点にビジネスを始めると決めていたことなので、夜間運用制限のことはわれわれにとっては所与のことだ。
 昼にわれわれの主力となる国内線をボンボン飛ばして、帰って来た飛行機を国際用の機材に切り替えて、夜に香港や上海などに飛ばす。向こうを夜中に折り返しして、成田が開く朝に返してくる。これをやることで飛行機の稼働率を上げていくのがわれわれの方法だ。このため、運用時間が広がっていくことはビジネスの自由度が広がることになる。
 LCCならまず成田ということが世の中の常識になるような位置づけの空港になっていけば、必然的にお客さまはLCC旅行をしたい時にはまず成田から探すことになると思う。関係するみなさまの投資と、スピード感をもった施設の拡張を望みたい。


【山内】ワンさんにうかがいたい。


【ワン】成田については、日本の玄関口というよりも、関東エリアまたは東京の玄関口のイメージを持っている。観光客が年々増えつつあって成田空港も変わり、成田市も変わった。
 観光客が増え、成田泊、千葉泊がすごく増えている。かつては夜になるとシャッターが閉まっていたのに、バーとか、いろんなお店も結構遅くまで開いていて、駅周辺の立ち飲みにも外国人がたくさんいる。成田は関東の玄関口になってきたと思う。
 将来に関しても、成田はアジアや太平洋地域から来る観光客の玄関口になってほしいと思っている。韓国のソウルを見ると、中国からソウル経由でのアメリカ行きが多くて運賃も安い。路線便数も中国各地からの便が多く、ソウルが東アジアの玄関口になっているような気がしている。
 中国のお客さんを成田に集中し、他の便、他の会社でもいいのでアメリカとかに運べば、成田はもう日本だけじゃなくて、アジア・太平洋側の玄関口になるし、その役割は非常に大きいと感じている。


成田に大きな可能性と財産


【山内】 成田の街に外国人が多いということは感じている。後半の話は大変に興味深かった。LCCが来て、だんだんLCCの拠点になりつつあり、長距離フライトと接合させて、「ハブとしての力もあるぞ」ということを示していくということかと思う。長田副社長いかがか。


【長田】 羽田は20年に(発着回数が?)4万回に増えるが、それは全て国際線に使うので、羽田には国内線が増える余地はない。このため、地方から首都圏への便をつくろうとすると、成田に来るしかない。成田には大きな可能性があるし、財産だと思っている。


【山内】LCCとしてはこうあってほしいというようなことを言ってほしい。


【驫木】滑走路の造設や運用時間の拡大以外では、やはりターミナルを中心とする施設のキャパシティー拡大や運用上の利便性向上のようなことも課題になる。駅から遠いところにターミナルがあるのが現状で、駅から第3ターミナルまでシャトルバスがないといけないような場所にあるのも事実。こうした点をどうしていくかが大きい。お客さんに向けた利便性をいかに効率化し、魅力を向上させていくかということを一緒に考えていきたい。


【山内】藤岡さんはどうか。


【藤岡】ターミナル拡張、滑走路の増設などで尽力いただいたが、やはりスピード感がほしい。また、「成田はやはり遠いね」と思っている人がまだまだいる。「成田は非常に便利な首都圏の国内空港だ」と言われるようになるまでやることだと思う。
  施設については、ジェットスターの本国のオーストラリアではお客さまはモバイルで、スマホでチェックインが終わっており、荷物を預けなければそのままセキュリティー、搭乗口に向かう。荷物がある方は無人のドロップのところに荷物を置いて、自分の搭乗券もしくはスマホをピッとやって預けておしまい。
 こういったものが世界的な潮流なので、第3ターミナルにもそういったものが入ってくるようなので、省力化の中で並行して早く実現するようお願いしたい。


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【山内】ワンさんいかがか。


【ワン】運用時間の延長は早めにやってほしいが、運用時間の延長イコールスタッフの問題、特に出入国審査とか税関などのスタッフの配置を問題なく進めていただきたい。また、2次交通にも問題が出てくるのではないかと危惧しており、そのへんも配慮してほしい。


【山内】長田副社長からは。


【長田】入出国の自動化だが、日本人については入国、出国ともに自動化ゲートになっているが、これを将来、外国人についてもやれれば、スマートなってくると思う。顔認証なら搭乗まで行けるようなシステムの実験もしていきたい。


 プログラム


第一部
13:00 【基調講演①】 観光庁長官 田端 浩 氏
13:30 【基調講演②】 国土交通省 航空局 航空ネットワーク部長 久保田 雅晴 氏
14:00 休憩(15分)
14:15 【LCC次世代戦略プレゼンテーションⅠ】
  Peach Aviation 株式会社 執行役員事業戦略室長 轟木 一博 氏
14:45 【LCC次世代戦略プレゼンテーションⅡ】
  ジェットスター・ジャパン株式会社 取締役常務執行役員 藤岡 秀多 氏
15:15 【LCC次世代戦略プレゼンテーションⅢ】
  春秋航空日本株式会社 取締役会長 ワン ウェイ 氏
15:45 休憩(15分)
第二部
16:00 【パネルディスカッション】
 <コーディネーター>
  一橋大学 経営管理研究科 教授/一般財団法人 運輸総合研究所 所長 山内 弘隆 氏
 <パネラー>
  Peach Aviation 株式会社 執行役員 事業戦略室長 轟木 一博 氏
  ジェットスター・ジャパン株式会社 取締役常務執行役員 藤岡 秀多 氏
  春秋航空日本株式会社 取締役会長 ワン ウェイ 氏
  成田国際空港株式会社 代表取締役副社長 長田 太 氏
17:00~ 【名刺交換会】 (会場:ホワイエ)

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