本日のテーマである地方空港、リージョナル航空の持つ意味について、フジドリームエアラインズ(FDA)の鈴木与平会長の考えに大変感銘を受けているので、鈴木会長の著書の内容を少し紹介したい。
鈴木氏はこう書いている。地方空港の最も大切な点は、地方に住む人たちが他の地方の方々や外国の人々と、東京に頼らずに直接交流ができる点だ。地域文化の継承と、魅力的なまちづくりを実現しようとするならば、東京に寄りかかった交通ネットワークから抜け出して、地方の空港と空港を結ぶネットワークを充実させ、活性化する必要がある。
こうした中から、新しい文化が生まれ育っていけば、東京に頼らなくても若者たちが誇りを持って、自ら住みたくなるような活力ある地方がきっと育っていくと思う、と。これは核心をついた言葉だと私は思う。
◇民間運営をみんなで支える
静岡県では、地域外交と言っているが、海外の地方と直接交流、地方と地方の交流を行っている。例えば、静岡県と中国の浙江省は長年、直接交流をしている。もちろん空港間に定期便がある。台湾とも定期便があり、修学旅行生が頻繁に行っている。
国と国の関係は時々ぎくしゃくするが、地方と地方は安定して交流を図っているので、非常に意義深いと思う。インバウンドによる地域活性化の面はもちろんあるが、やはりこの直接交流の効果をわれわれは認識すべきではないかと思っている。
本日のテーマで大事なことは地方空港の活性化だが、運営権の問題ということもある。富士山静岡空港は来年4月から運営権を三菱地所と東急電鉄グループに託す。県が管理する空港で、県や市町、地域の経済界などがその役割分担を独自に考えて実現した。
運営権を渡しても、県や市、町が何も関与しなくなるわけではなくて、これまでと同様に県や市町、企業や地域住民も、みんなで空港を支えていく。そういった静岡県の経験や稚内市、宮城県などの経験をこうした場で取り交わすことにより新しい気付きやヒントが生まれると思っている。