◇人々との交流核に
民泊・農泊の予約サイトを主事業として運営する百戦錬磨社長の上山康博氏は「地域の文化に触れてもらい、地域の人々と交流する。広義の農泊を広げていくことが地方創生につながる」と語った。同社は「イベント民宿」も手掛けている。地方で行われる花火大会や祭りなどのイベントには、多くの人々が集まる。イベントの期間だけ、地域の人々に宿泊場所を提供してもらう事業だ。上山氏は「特に海外からの旅行客には、花火が見たい、祭りの踊りに参加してみたいという人が多いが、泊まる所がない。汗水流して行うイベントでも地域にお金が落ちない。このもったいない状況を変えたい」と強調した。
政府は訪日外国人旅行者について、20年に4000万人、30年に6000万人という目標を掲げる。上山氏は「地域にとっても、農泊を通じて循環する経済をつくっていく流れになるのではないか」との展望を示した上で、「18年6月に住宅宿泊事業法が施行される。旅館業法も改正されると聞いている。観光業界には変革の年になり、農泊に関しても大いなるチャンスがある」と述べた。
世界の海外旅行市場の半分を欧州の人々が占めるが、日本への旅行者は少ない。「彼らが求めているのは自分たちの日常と全く異なる日常で、それを提供できるのが農泊だ。地域の人々との交流が一番コアなコンテンツになる」と話した。