iJAMP自治体実務セミナー レポート

訪日観光客をいかに地方に呼び込むか 〜モノ消費からコト消費へ海外のインバウンド戦略に学べ〜

【各国のインバウンド戦略に学ぶ】
「ウェルネスツーリズム先進国の事例」

国際医療福祉大学大学院 医療経営管理部門 准教授 岡村 世里奈 氏

◇伸びる健康ツーリズム

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 国際医療福祉大学大学院准教授の岡村世里奈氏は、新しい分野である「ウェルネス(健康)ツーリズム」を紹介した。日本ではあまりなじみのない言葉だが、2013年に4941億ドル規模だった市場が5632億ドル規模にまで拡大。通常のトラベル系ツーリズムの2倍以上のスピードで成長している。岡村氏は「背景には世界的な高齢化と中産階級の増加がある。高齢化が進めばさまざまな疾患を抱える人々が増えるし、生活が豊かになり、食生活が豊かになれば生活習慣病などの慢性疾患にかかる人々が増えてくるだろう」と説明した。

 岡村氏が海外の先進事例として挙げたのが、中欧や東欧を中心にホテル事業を展開しているダヌビアスグループの最高級ホテルだ。「メディカルスパ・ステイ」といい、体重を減らしたい人やストレスを解消したい人、軽い心臓疾患を抱えている人向けなどの1週間の滞在プログラムが用意されている。提携している医療機関の医師やフィットネスのトレーナーらがコンサルティングをしながら、客の体調に合ったプログラムを提供する。

 岡村氏によれば、「こうした取り組みはある意味で、日本に非常に向いている」という。「湯治という文化があり、温泉病院や温泉療法といったものが確立している」からだ。例えば、一定の条件を満たせば厚生労働相が認定する「温泉利用プログラム型健康増進施設」という制度もある。日本のさまざまな所に温泉があり、各自治体が介護や高齢者の健康増進のための方策を持っていることも強みだ。

 可能性を秘めるウェルネスツーリズムだが、課題もある。岡村氏は言語の対応や裸で温泉に入ることへの抵抗感などに加え、「この温泉は○○に効果があるという宣伝は通用しない。一定期間この施設に泊まり、健康改善にどのくらい寄与したのかという臨床的データを示すことが大事だ」と力説した。

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