パネルディスッカションで鈴木氏はサミットの遺産について「『おもてなし大作戦』ということで、6万人以上に参加してもらい『クリーンアップ作戦』というものをサミット直前に行った。その後も継続して取り組んでいる地域もある」と発言。「非常に良かったと思っているのが、テロ対策パートナーシップの取り組みだ。地域のことは地域住民が一番よく知っている。皆の目でテロを抑える。それが今も継続し、自分たちの地域を自分たちで守っていく形になっている」と続けた。
米沢氏は帯広のアイデンティティーに触れ、「十勝では大規模な農業経営をしており、農業が日本一だというプライドがすごく強い。一方で、街を森で囲む田園都市帯広を街づくりの基本にしてきた。そこに今度、観光産業という新しいポイントが入ってきた。インバウンドというテーマは世界の中の十勝、世界の中の日本を考えるすごく良い機会になる」と述べた。同時に「東北海道」というコンセプトで女満別空港と釧路空港、帯広空港が一緒になって海外のプロモーションを展開していることを紹介。「今年から、期間は短かったが夏の間、格安航空会社(LCC)の飛行機が飛んで来てくれた」と話した。
﨑田氏は「行政は商売をしたことがないので、それができる人を取り込む。しかし、民間人を雇えばマジックのように何もかも変えてくれるわけではない。行政がチームを組み、担当職員が常に一緒に動くことが必要だ」と述べ、民間人登用に関する安易な考えにくぎを刺した。その上で、「民間人がポンと役所の中に入ってきたら、浮いてしまう可能性も多々ある。そこをうまく橋渡しをすることにものすごく神経を使っている」と、苦労話も披露した。
外園氏は「観光と街づくりは違わない。一緒にやらないと駄目だ、ということを皆で共有する必要がある。魅力ある街づくりを進めながら、客が来て長崎の街が活性化することを共有する必要がある」と強調。市民が観光客を自分の所の路地裏も含めて案内する。外園氏は「市民が観光客と積極的に交流するという機運が少しずつ出てきた」と分析。「危機感の共有は必要だが、危機感だけでは寂しい。こういうことをすると交流が生まれ、自分たちの街がもっと魅力的になる。それにより若者が定着し、長崎の街がどんどん良くなる。夢というかプラスの要素も共有したい」と語った。(了)