◇被害想定の半減目指す

内閣府政策統括官(防災担当)付参事官(調査・企画担当)の廣瀬昌由氏は「首都直下の中で厳しいのが、都心南部直下地震だ。震度6弱あるいは6強、一部で震度7が発生する」とし、その被害想定を紹介した。
都心南部で冬の夕方、マグニチュード(M7・3)の直下型地震が発生したと想定。被害の最大値は家屋の全壊・焼失が約61万棟、死者約2万3000人、要救助者約7万2000人に達する。資産などへの被害は約47兆4000億円、経済活動への影響は約47兆9000億円に及ぶ。
廣瀬氏は首都直下地震と南海トラフ地震では対応に違いがあることに言及した。「日本の首都機能を維持するという観点は非常に重い。多くの企業が東京に本社機能を置いている。行政のBCP(事業継続計画)的なものも含め、どういうふうに企業を維持していくか。民間も含め、金融決済機能とか銀行機能などをどうするかが課題だ」。
もう一つの大きな課題が、帰宅困難者対策、避難者対策だ。自宅からの距離が10キロ未満の外出者数は約560万人、10~20キロが約530万人、最も遠い50キロ以上でも約74万人と推定される。帰宅困難者は東京都だけで約380万~490万人、茨城、埼玉、千葉、神奈川を加えると約640万~800万人に上る。
首都直下地震の減災目標は明確で、廣瀬氏は「死者を想定数から半減させる。建物についても全半壊、焼失戸数の半減を目指し、取り組みを進めている」と述べた。建物に関しては耐震化率を高める。火災対策では「阪神大震災でも、東日本大震災でも、火災の原因は圧倒的に電気関係が多い。感震ブレーカーをぜひ整備してもらう方向でやっていかなければならない」と説明した。


